定着支援・サポート体制
「来てもらう」より難しいのは「続けてもらう」ことです。定着しない原因と、送り出し段階でできる対策を整理しました。
結論:定着するかどうかは、入国前にほぼ決まっている
外国人材が早期に離職したり失踪したりする原因を突き詰めると、その多くが入国前に作られたものに行き着きます。
「聞いていた仕事と違う」「手取りが想像と違った」「借金の返済が重い」「相談できる相手がいない」。これらはいずれも、入国後に発生した問題ではなく、入国前に説明されていなかった、あるいは無理のある条件で送り出された結果として現れます。
受け入れ企業の側でどれだけ丁寧に接しても、埋められない部分があります。逆に言えば、送り出し機関が入国前にやるべきことをやっていれば、受け入れ後の負担は大きく下がります。ここは分担すべき仕事です。
定着しない5つの原因と、その出どころ
過大な借金を背負って来日している
最も重い原因です。渡航前の費用を借入で賄っていると、返済のために手取りの多い仕事へ移ろうとする動機が生まれます。育成就労制度で送り出し機関への手数料に上限(所定内月額給与の2か月分)が設けられ、超過分を日本側が負担する仕組みになったのは、まさにこの問題を断つためです。費用の設計そのものが、定着策になります。
契約内容を本人が正確に理解していない
賃金の総額と手取りの違い、寮費や光熱費の控除、残業の有無、仕事の実際の内容。これらを母語で、契約前に、本人が理解できる形で説明しているか。日本語の契約書に署名させただけでは、理解したことになりません。「話が違う」の大半はここから出ます。
日本語が足りず、現場で孤立する
指示が理解できない、質問ができない、注意された理由が分からない。この状態が続くと、本人も職場も疲弊します。挨拶や自己紹介ができる水準と、報告・連絡・相談ができる水準、安全指示を理解できる水準はまったく別物です。入国前教育で後者まで届いているかが分かれ目になります。
職種と適性が合っていない
人数を揃えることを優先して、適性を見ずにマッチングすると、本人にとって続けられない仕事になります。育成就労では一定の条件下で本人の意向による転籍が認められるため、適性を見ないマッチングは、そのまま人材の流出として跳ね返ります。
母語で相談できる相手が日本にいない
体調、家族の事情、職場の人間関係、金銭のこと。日本語では言いにくいことほど、抱え込まれて大きくなります。小さな不満のうちに母語で話せる相手がいるかどうかで、その後がまったく変わります。
当社が入国前後に行っていること
入国前
- 1日8時間以上の日本語教育。挨拶レベルではなく、報告・連絡・相談と安全指示の理解までを目標にしています。日本人の日本語教師が授業を担当します。
- 職種に応じた技能教育。建設をはじめとする技術職には、入国前から実技の指導を行います。
- 生活指導。ゴミの分別、公共交通の使い方、集合住宅での騒音、時間の守り方など、日本での生活習慣とマナーを具体的に指導します。
- 契約内容の母語説明。賃金の総額と手取り、控除の内訳、仕事の実際の内容を、本人が理解した状態で署名まで進めます。
- 適性を見た選抜。人数合わせのマッチングをしません。職種に向かないと判断した場合は、その旨をお伝えします。
入国後
- 日本語対応が可能なネパール人スタッフによる継続フォロー。本人が母語で相談できる窓口を、日本側に置いています。
- 日本国内の地域連絡事務所。埼玉県・大阪府・三重県に拠点があり、現場に近い場所で対応します。
- 受け入れ企業・監理団体との情報共有。本人から届いた相談のうち、共有すべきものは早い段階でお伝えします。問題が大きくなってからでは、打てる手が限られます。
受け入れ企業の側でお願いしたいこと
送り出し側だけでは完結しません。受け入れ現場でこれをしていただけると、定着率は目に見えて変わります。
- 最初の3か月は、指示を短く区切って伝える。一度に複数の指示を出さず、「何を」「どこまで」を一つずつ確認します。日本語力の問題ではなく、伝え方の問題であることが多くあります。
- 食習慣への配慮。ネパールにはヒンドゥー教徒が多く、牛肉を食べない方が少なくありません。宗教上の理由による食事の制約は、社員食堂の献立や寮の調理環境に関わります。事前に確認しておくと、双方が困りません。
- 祝祭の時期を把握しておく。10月前後のダサイン、続くティハールは、ネパールにとって日本の正月にあたる最も大きな祝祭です。この時期に家族と連絡を取る時間を確保できると、本人の気持ちが安定します。
- 寮と通勤手段を、入国日から整えておく。入国後に準備が間に合わないと、最初の印象がそこで決まってしまいます。
- 叱るときの言い方を決めておく。人前で強く叱責されることを、深刻に受け止める方が多くいます。伝えるべきことは伝えたうえで、場所と言い方を配慮すると、関係が壊れません。
いずれも特別なことではありません。ただ、知らないまま始めると、双方が理由の分からないまま関係を悪くします。受け入れ前のオリエンテーションで、現場の皆さまにお伝えすることも可能です。
よくあるご質問
失踪が起きてしまった場合、送り出し機関は対応してくれますか?
当社は、本人および現地の家族との連絡を含めて対応します。実際には、失踪に至る前に本人から相談が届いていることが多いため、相談を受け取る窓口を機能させておくことを最も重視しています。受け入れ企業・監理団体の皆さまとも、兆候の段階で情報を共有させていただきます。
ネパール人材の国民性を教えてください。
親日的で、温和で、勤勉な方が多いというのが当社の実感です。ただし個人差がありますので、国民性で判断するのではなく、一人ひとりの適性を見た選抜を重視しています。ネパールという国と人についてはネパールについてのページで詳しくご紹介しています。
宗教上、対応が必要なことはありますか?
ヒンドゥー教徒が多く、牛肉を食べない方が少なくありません。食事の面で配慮いただけると助かります。祈りのための特別な設備が必要になることは通常ありません。個別の事情は入国前に確認し、事前にお伝えします。
受け入れ後に日本語が伸び悩んでいます。どうすればよいですか?
まず、現場で日本語を使う機会がどれだけあるかをご確認ください。同国籍の人材だけで作業が完結する体制になっていると、日本語を使わないまま時間が過ぎます。あわせて、本人が学習を続けられているかも確認が必要です。状況をお伺いのうえ、当社からも本人へ働きかけます。
